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今、この瞬間

広島に単身赴任中。仕事のついでに行った名所、名物やラーメン、映画、韓ドラなどを備忘録的に綴っています。
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八甲田山、高倉健

近くの八丁座で高倉健追悼と銘打ち「八甲田山」を上映中。



八丁座はイスがとても座り心地がよい。

スクリーンに幕がかかっていて、係員がまず挨拶し、「それではごゆっくりご覧ください」と言ってから幕が開く。とってもご丁寧な映画館。さすがデパートさんです。

福屋カードを持っていれば、1800円のところを1500円で見られる。「八甲田山」は1100円。

この映画で驚くのは、キャストの豪華さ。高倉健、北大路欣也のほかに、緒方拳、加山雄三、三國連太郎、丹波哲郎、大滝秀治以下、大物役者が多数出演。

女性陣も栗原小巻、加賀まりこ、秋吉久美子が脇役で出ている。3人とも若く、妖しい雰囲気を放つ。

約3時間の大作。その相当部分が雪の山。スクリーンいっぱい猛吹雪の中、兵隊さんが雪をかき分け行進するシーンが続く。十和田湖も強風で波立ち、北の日本海のようだ。

来たる日露戦争の戦場は極寒の満州の地になるからと、司令部が冬の八甲田山での雪中訓練を立案する。あいにくの猛吹雪。

徳島隊(高倉健)と神田隊(北大路欣也)の生死を分けたのは、冬山を歩いて目的地にたどり着けるか。

結局、地元の山に詳しい道先案内人を使った徳島隊が無事で、これを侮った神田隊が全滅近い犠牲者を出した。

案内人になった村人役の秋吉久美子がスイスイと雪山を登り、徳島隊を宿営地まで無事届ける。

村に入る時、高倉健の部下が秋吉久美子を下がらせますかと聞くが、高倉健はそのままでよいと答え、徳島隊は秋吉久美子を先頭に入場する形になる。そして、任務を終えた秋吉久美子を高倉健以下兵隊さん全員が敬礼し、もと来た道に送り出す。



一方、神田隊は北大路欣也がわざわざ案内人を探し出したのに、上司の三國連太郎がカネが欲しくてきたのかと蔑み、追い返してしまう。

それから3日3晩、猛吹雪の中、道に迷い続けるのである。そして北大路の有名なセリフに至る。

「天は我々を見捨てたか」

三國は、過信と驕りと功名心が悪癖だった旧日本陸軍将校を演じた。


高倉健が北大路欣也の遺骸に別れをいうシーンでは、北大路が言い出して、自ら棺桶の中に横たわったそう。

高倉健は蓋を開いて初めて北大路と気づき、感極まって迫真の涙のシーンになったという話を武田鉄矢がテレビでしていた。

喪服の栗原小巻が凛として良い。

総じて、女性陣が出番は少ないが光っている。

この映画は1977年の作品。この年のキネマ旬報ベスト4。

ちなみに1位は「幸せの黄色いハンカチ」でした。高倉健は名作2本の主役だったのね。



















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紙の月を見る

角田光代原作の「紙の月」を観る。

宮沢りえが公金横領の逃亡犯を演じる。

きれいだという感想をいう人もいるが、ふけたなあというのが率直なところ。

NHKがすでにドラマ化しており、その時の主役は原田知世。

原田知世、あるいは年代が下がるが満島ひかりの方がいいという説はありえるかもしれない。


純文学系の小説の映画化は、原作と全く別物になるか、やや筋がわかりずらくなりやすい。

原作は「金でしか実現できない恋愛関係」がテーマと聞く。

これは古典的であり、今日的でもある人間関係の一つである。


映画もそのテーマは消えていないが、宮沢えりがなぜ青年に惹かれ、不倫にはまるのかが今ひとつ描ききれていない。

恋愛していても、ちっとも幸せそうじゃない。

宮沢と若手男優のキャラクターにもよるのだろうが。


映画は宮沢りえ演じる主婦の年少期の寄付にまつわるトラウマを引っ張っている。

「寄付→貢ぐ→与える」に喜びと幸せを感じるたちの宮沢りえが、長じてそのトラウマを乗り越えるかのようでもある。

銀行員の同僚役を大島優子が演じている。

あっけらかーの役で、キャラが合っている。

kami

蜩ノ記を見た

「蜩ノ記」(ひぐらしのき)が公開中。

黒田官兵衛の岡田准一と役所広司による初のコラボ作品だという。

役所演じる主人公はある事件の責任を負い、10年後の切腹が決まっている。

亡き藩主との約束で、割り切っているのだろう。「死を自分のものにしたい」とポジティブに受け止めている。

そして、清々しい心境でその時を迎える。

見ている側もそんな思いになるのだから不思議。


直木賞を取った原作はもっと事件の背景を複雑に描いているのだろうが、映画の方はわりかし単純に作っている。

ちょっと軽い感じ。

堀北真希はこの種の役どころはピッタリ。いい味を出している。梅ちゃん先生より、三丁目の夕日の方に近いか。

息子役の子役もなかなかよい。

柘榴坂の仇討を観る

「柘榴坂の仇討」を公開初日の初上映で観た。



客席は結構空いている。やはり年配の人が多い。

映画館は昔は若者が通ったが、今は年寄りの娯楽である。


監督は「沈まぬ太陽」の若松節朗。趣のある映像で、山田洋次の時代劇に負けていない。

冒頭、桜田門外ノ変で暗殺される井伊直弼が出てくる。俳優は中村吉右衛門。

直弼は老練な政治家のイメージがあるが、44歳で死んでいる。存外若い。

安政の大獄で人気のある吉田松陰や橋本左内を処刑したので、日本人には人気がない。

しかし、歴史は直弼が進めた開国路線を明治政府も踏襲する。誤った政策選択をした人ではない。

政敵だった徳川慶喜は直弼を「決断力があった」と評している。

吉田松陰も直弼が彦根藩で行った政治改革を褒めた。

歴史の評価をもう少し上げてもいい人物かもしれない。


さて、直弼が暗殺されたときに、近習として警護にあたった志村金吾が主人公。

中井貴一が演じている。

一人生き残った金吾は、彦根藩から暗殺を実行した水戸脱藩浪士の仇討ちを命じられる。

しかし、見つからない。生活は窮迫し、生き恥をさらしているような状態になる。

明治維新で回天し、徳川幕府も彦根藩はこの世から消えた。

にもかかわらず、金吾は二本差しの武士の姿を変えず、捜索をやめない。


金吾の妻のせつを演じた広末涼子が一皮むけた感じ。

語りが少なく、表情だけで演技し、以前の甘ったるさがない。

風雪に耐えてきた夫婦が手をつないで帰っていくラストシーンが感動的。


なかなかよろしいのではないでしょうか。